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第22話 街へ

Author: 文月 澪
last update Last Updated: 2025-12-10 16:00:19

 既に我が家となっている宿屋に戻ると、自室の扉を開き声を上げる。

「ツェルセスティアさん」

「ツェリュシェスティアです」

 にっこりと、しかし威圧感をもって言い直されてしまった。

「ツェリュ、シェス、ティア、さん」

「はい」

 つっかえながらも名前を呼べば、いつもの笑顔をくれて安堵する。この五日間、共に過ごしてきたけれどなかなかすんなりと名前を呼べずにいて申し訳ない思いだ。ファンタジーものでもよくあるけど、横文字の名前は呼びにくい。特にこの人は別格だろう。

「お使い行ってきました。これ保障証です」

 そんな思いを隠し、郵便局で貰った保障証を手渡す。

「面白いものは見れましたか?」

 ふいにツェリュシェスティアさんが聞いてきて呆気にとられていると、わたしの頬をつつきながら微笑んだ。

「すごく楽しそうなお顔をしていらっしゃいます」

 街の喧騒にあてられたのか顔が火照っていることを指摘され、さらに赤くなるのが分かった。慌てて顔を隠しても後の祭りだ。

 だって、仕方がないじゃない。街中は物珍しいものに溢れていて、見るものすべてが珍しく目移りしてしまい、宿に帰ってくるのにも苦労したくらいなんだから。

 そんな異国情緒満載な街でだったけど、モイラに反応はなく、新規の情報に繋がるものは何も無かった。わたしには一応、この星の情報収集という目的もある。先に調査が入っているんだから、早々見つかるはずもないけど。

 そういえば、寝ているだけだった5日の間に、自分のステータスも確認したんだった。結果はEとFだけしかない平々凡々。モイラに確認したら、同世代の平均よりやや下とのことだった。

 スキルも今のところ取るべき方向性を定め切れてないから手つかずだし、しばらくはツェリュシェスティアさんの手伝いもある。スキルは高すぎてすぐに手が出せないから、今の仕事を続けながら、次に必要な稼ぐためのスキルについて、モイラと相談しようと思っている。

 まずは恩を返すことが第一。

 そう考えていると、不意にツェリュシェスティアさんが提案

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