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第22話 街へ

مؤلف: 文月 澪
last update تاريخ النشر: 2025-12-10 16:00:19

 既に我が家となっている宿屋に戻ると、自室の扉を開き声を上げる。

「ツェルセスティアさん」

「ツェリュシェスティアです」

 にっこりと、しかし威圧感をもって言い直されてしまった。

「ツェリュ、シェス、ティア、さん」

「はい」

 つっかえながらも名前を呼べば、いつもの笑顔をくれて安堵する。この五日間、共に過ごしてきたけれどなかなかすんなりと名前を呼べずにいて申し訳ない思いだ。ファンタジーものでもよくあるけど、横文字の名前は呼びにくい。特にこの人は別格だろう。

「お使い行ってきました。これ保障証です」

 そんな思いを隠し、郵便局で貰った保障証を手渡す。

「面白いものは見れましたか?」

 ふいにツェリュシェスティアさんが聞いてきて呆気にとられていると、わたしの頬をつつきながら微笑んだ。

「すごく楽しそうなお顔をしていらっしゃいます」

 街の喧騒にあてられたのか顔が火照っていることを指摘され、さらに赤く

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     お使いにも慣れてきて、数日経ったある日。    その日もお使いに精を出していた。 今日の仕事は手紙やインクなど、消耗品の買い足し。すっかり通いなれた雑貨屋へ向かい、何事もなく買い物を済ませた。 その帰り道。    近道をしようと、細い路地に入ったことが運の尽きだった。  唐突に後ろから羽交い絞めにされ、口に布を押し付けられてしまう。必死に抵抗してみても、布にしみ込んだ薬品を嗅がされたわたしは、あっけなく意識を手放した。 目を覚ますと、板敷の上に無造作に寝かされていて、猿ぐつわをされた上、手足も縛られていた。何事が起ったのか、ひどく混乱した頭で、見当違いにも買った品物の行方を心配してしまう。 ゴトゴトとひどく揺れる室内は薄暗く、明かりも見えない。身動きも取れず振動であちこちぶつけるし、縛られた手足は縄が食い込みじくじくと痛む。薬品を嗅がされたせいか頭も重く最悪の気分だ。 しばらくして目が慣れてくると、ここが幌馬車の中だとわかってくる。室内は煤けた布で覆われただけの、寒々しい場所だ。視線だけで回りを探ると、わたしと同じ境遇の人が他にも3人いることに気付く。みんな、わたしと似た年恰好の子供達、そして女の子。まだ目を覚ましている子はおらず、痛みに耐えながら永遠を思わせる時間に身を任せることしかできない。(お使い……戻れなくなっちゃうのかな……ツェリュシェスティアさんに迷惑かけちゃった……どうしよう……恩人さんにも会えてないのに……それに、あの子達も……) しばらくは暗い思考に沈んでしまっていた。やっと家族から逃れ、出会った温もりが急速に遠のいていく。なにより、ツェリュシェスティアさんに迷惑をかけたことが辛い。 何度目かの溜息をついた時、はたと思い出した。(そうだ……モイラ! モイラがいるじゃない! ねぇ、わたしの今の状況ってどうなってるの?) 事前にフルスキャンと思考伝達に変更しておいてよかったと、今になって心底思う。だけど、向こうから話しかけてくれれば、もっと時間も有意義に使えたのにと思ってしまった。『現在、複数人の男により拉致監禁されています。セトア・コオが意識を失ってから1日が経過、移動距離は南東へ25km、目的地は不明。他3名は別の町から運び込まれたようです』 淡々とした声が今はありがたい。浅くなっていた呼吸を整え、頭を回

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     既に我が家となっている宿屋に戻ると、自室の扉を開き声を上げる。「ツェルセスティアさん」 「ツェリュシェスティアです」 にっこりと、しかし威圧感をもって言い直されてしまった。「ツェリュ、シェス、ティア、さん」「はい」 つっかえながらも名前を呼べば、いつもの笑顔をくれて安堵する。この五日間、共に過ごしてきたけれどなかなかすんなりと名前を呼べずにいて申し訳ない思いだ。ファンタジーものでもよくあるけど、横文字の名前は呼びにくい。特にこの人は別格だろう。「お使い行ってきました。これ保障証です」 そんな思いを隠し、郵便局で貰った保障証を手渡す。   「面白いものは見れましたか?」 ふいにツェリュシェスティアさんが聞いてきて呆気にとられていると、わたしの頬を突きながら微笑んだ。「すごく楽しそうなお顔をしていらっしゃいます」 街の喧騒にあてられたのか顔が火照っていることを指摘され、さらに赤くなるのが分かった。慌てて顔を隠しても後の祭りだ。 だって、仕方がないじゃない。街中は物珍しいものに溢れていて、見るものすべてが珍しく目移りしてしまい、宿に帰ってくるのにも苦労したくらいなんだから。 そんな異国情緒満載な街でだったけど、モイラに反応はなく、新規の情報に繋がるものは何も無かった。わたしには一応、この星の情報収集という目的もある。先に調査が入っているんだから、早々見つかるはずもないけど。 そういえば、寝ているだけだった5日の間に、自分のステータスも確認したんだった。結果はEとFだけしかない平々凡々。モイラに確認したら、同世代の平均よりやや下とのことだった。 スキルも今のところ取るべき方向性を定め切れてないから手つかずだし、しばらくはツェリュシェスティアさんの手伝いもある。スキルは高すぎてすぐに手が出せないから、今の仕事を続けながら、次に必要な稼ぐためのスキルについて、モイラと相談しようと思っている。 まずは恩を返すことが第一。 そう考えていると、不意にツェリュシェスティアさんが提案

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